人が、どこかで知りたいと感じていたものだけど、未だ明確には問われていない。
そういうものの答えを、体験として提示する。
答えをコンテンツそのものではなく、フレームワークとして提示すると、
体験者は自分の記憶をそのフレームにあわせて呼び起こす。
そして、浮かび上がった記憶には、一つの法則・言葉が与えられ、心に定着する。
自分はこのような過程に関与しているのだと思いました。
文化庁メディア芸術祭京都展
「Parallel Lives」
安藤英由樹, 草地映介, 渡邊淳司
本作品は2台のタッチパネルモニタからなり、
それぞれのモニタ映像のなかには人が歩いている。
ひとつのモニタのなかは実体のみで影がない人の世界で、
もう一方のモニタのなかは影のみの人の世界である。
モニタに映る人が触れられると、触覚を伴って消え、もう一方の世界に現れる。
人は触れられることで、その存在の形態を変えながら2つの世界を行き来する。
実体と影の2つの世界が、触覚を通して結ばれることで、
わたしたちの見る触るという感覚と、何かが存在するということの意味を問いかける。