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熱帯夜

私は、仕事中つけっぱなしにしておく習慣のCD

-きょうはリッキー・リー・ジョーンズを聴いていた- を切り、

秋美の鞄を眺める。

家の中に秋美のいる時間が、私はほんとうに好きだ。

彼女が仕事になど行かなければいいのに、と思う。

お風呂場から、威勢のいい水音が聞こえている。



江国香織 「熱帯夜」 『号泣する準備はできていた』 より


ここ数日、好きな文章を書き出す作業をしていました。

いつ読んでも、江国さんは、すごいなぁ。とおもう。
(さん付けですが、知り合いでも何でもありません。)

読んでるだけで、心がマッサージされる。

そして、好きな文章のルールのようなものを発見する。

自分の好きな文章は、

「主人公の行動」
「主人公の気持ち」
「情景(好きな対象もしくは環境)の描写」

と続くことが多い。

そんなことで、江国さんの魔法は何も変わるものじゃないけれど、

少しだけ、ヒミツがわかるのはうれしい。

そして、いつか、研究にならないだろうか。インタビューしてみたいな。


それと、今日、聞いたシンポジウムで、

社会学者のような人が

「人間は意識の制約に縛られている」といっていた。

いつまでたっても、自分のことはわからないと。

でも、そんなこといったら、人間は、言語文法にも、知覚にも、身体にも縛られている。

縛られているものだらけ。

こないだの本(言語表現法講義)にも書いてありましたが、

それを捨てることができないのだったら、

むしろ、その制約をよく知り、使いこなすことが、そこから自由になることだと。

日本語で考えている限り、日本語の文法に縛られる。

もちろん、文法に縛られている自分を意識することは重要ですが

でも、それ以上に、自分で日本語を使いこなし、自分なりに変容させることができないと、

日本語に縛られたまま。

文章を書くプロがそうであるように、

文法という縛りのなかに、文と文のあいだのなかに、

読み手の思いをどれだけ呼び起こすことができるかということが、

文法から自由になるということなのでしょうか。



オススメの展覧会

東京オペラシティ アートギャラリー
「エレメント 構造デザイナー セシル・バルモンドの世界」
http://www.operacity.jp/ag/exh/index_exh.php

東京都現代美術館
「MOTアニュアル2010 装飾展」
http://www.mot-art-museum.jp/exhibition/111/1
by w_junji | 2010-02-21 02:00


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