地震や放射能が生活のなかに現れ,もう一ヶ月以上たちましたが,
不思議なことに,危機の中でも,なんとなく,日常が立ち上がってくる.
被災地の方々に比べれば,関東にいる自分は
あまりにもいつもどおりかもしれないですが,
日に10回を超える地震や,身の回りにシーベルトという気にすべき単位ができたり,
2ヶ月前には考えられなかったことです.
今では,家具を買うのに耐震用の部品を一緒に買ったり,
この野菜の産地はどこかしら?など自然に考えてしまう.
それが,日常になりつつあります.
人は,状況が変わっても生活の中にルールを作り出し,
それにのっとって生きていくようにできている.
毎日,太陽は昇るし,日が暮れる.
朝になれば,いつもの手順で出勤する.
夜になれば,いつもの場所で眠りにつく.
だけど,一方で,非常時には,
日常を続けてたものを何のためらいもなく壊さなければいけない.
一回,ルールを捨てて,信じていたものを疑い,
もう一度,状況にあったルールを作り直す.
そんなときは,身体が反応するままに判断するとき.
時間とタイミングが問題になるから.
世界の中で,自分の感覚で知ることができるものはそんなに多くない.
ほとんどは記号の情報としてやってくる.
同じことを繰り返す日常は,記号化されているほうがいろいろ効率がよい.
だけど,そればっかりだと,
非日常になったとき,記号に対して身体が反応する瞬発力が衰える.
そんなバランスをどうやって維持していくか.
スポーツクラブに通って身体を鍛えるように,
記号に対して,自身との関係性を適切に想像する筋力を鍛える方法があるでしょうか.