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時空間すらアプリオリじゃない今日この頃

認知科学をやっていると時空間すらアプリオリに考えられません。

時間とか空間を正しいものとして、
そこから他のことを考えていくという姿勢は認知科学の世界では間違っています。
時間や空間が歪むという錯覚はある条件下ではそれなりにおきます。
なので、まず時間や空間の認識自体を疑わなければなりません。
そして、ぼくは、どういう状況でどんな風に
時間や空間が歪むのかということを調べているわけですが、

「それってあら捜しをしているだけじゃない?」とか
「そんなこと考えなくても、たいていの状況は正しいんだからいいんじゃない?」
「例外的な状況にどんな意味があるの?」
なんて言われたりするときもあります。

確かに、そういう例外的な状況が
そのまま何かの役に立つということは少ないと思います。
でも、そんな例外的な状況だからこそ、そのものの本質が現れてくる時があると思うのです。
例えば、ある音楽を聴いていて、
それがCDなのかレコードなのかぼくにはわかりません。
でも、音飛びした瞬間、「あ、それはCDなんだ」とわかります。

今までの状況を含めて説明できるような、もう少し深いところにある原理が
壊れた瞬間には現れてくると思うのです。
スピーカから聞こえているということしかわからなかった音楽が
音飛びした瞬間にCDプレーヤーがその奥にあることがわかります。

そして、人はどんな歪んだ世界を認識して、行動しているのか?
どんなメカニズムによってそれが生じているか?
を調べることは、もうちょっと高次な現象、
コミュニケーションだったり社会を考える上で意味があるんじゃないかと思います。

歪んでるとはいえ、
人間の知覚はある程度似たり寄ったりなところがあります。
ある人が見ている赤色は、多分そこにいる人の見ている赤とそんなには違わないでしょう。
でも、価値観だったり、コミュニケーションだったり社会観なんて、
知覚とは比べ物にならないくらい歪んでいるはずで、どう考えていいかわからないです。
でも、そのとき、そういうものを考える上で、
知覚での歪みの本質とかが参考にできないかなと思っています。
by w_junji | 2004-10-23 02:58 | 自己紹介の代わり


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